中途退学を考えている君へ

20代男性


  中学校の頃の私は飲酒に喫煙、深夜徘徊、金髪、眉なしの能面で、いわゆる不良と呼ばれていました。教師や両親に反抗し、酷い暴言を吐くのは当たり前、学校にも行かず、しまいには家にも帰りませんでした。最初は説教をしていた先生や両親もあきれ果てたのか、何も言わなくなりました。当時は自分を心配してくれる人など誰もいないのだと考えていました。

〈 中 略 〉

 そんな私を変えたのは、21歳の時に交際を始めた今の妻との出会いでした。毎日一緒にいるうちに彼女と結婚したいと強く思いはじめました。それからは、人が変わったように仕事に打ち込みはじめ、アルバイトから正社員へ昇格することができました。

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 入籍してすぐに娘が生まれました。その時の、初めて我が子を抱いた時の感動は忘れることができません。それと同時に学校もろくに行かず、勉強なんてまともにしたことのない自分が父親としてこの子を育てることができるのかという不安もわき起こってきました。

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 勉強の面白さをしった今の私は、学ぶことが楽しく、毎日学校に行きたくて仕方ありません。部活にも入り、放課後は資格取得のための学習をしています。社内でのスキルアップの手段にして、ゆくゆくは会社へ貢献し、社長への恩返しをしたいと考えています。こんな気持ちになったのも娘の誕生のおかげです。娘が生まれて、初めて周りの優しさや思いやりに気付きました。すさんでいた中学校の頃には気付かなかったことを今、娘に教えられています。彼女が学校へ通い始めた時、どんな難しいことも教えることができ、人間的にも尊敬される父親になることが私のささやかな、しかし大きな目標です。