中途退学を考えている君へ

20代女性


 「お母さん、高校に行ってもいいですか?」
 2年前、私は母に頭を下げ高校へ行かせて欲しいとお願いしました。母は、「育児・仕事・高校生活、全てに一生懸命取り組むこと。自信がないなら高校へは行くな。」という条件を出しました。
 現在、私は高校の2年生です。中学校時代は学校には行かず、家にも帰らず、遊び回っていました。

・・・ お金があればみんな幸せになれると安易に考えていた自分が情けなくなり、息子を抱きしめて泣くことしかできませんでした。そして、このま今の仕事を続けて今後どうなるのかという、ずっと胸にあった不安があふれ出てきました。
 昼間の仕事だけにしようと決意した私は、翌日から、求人誌に掲載されている企業の面接を何十ヵ所も受けました。しかし、良い返事はどこからももらえず、貯金が底をついてきました。不採用の理由を人事担当者に問いあわせたところ、帰ってきたのは、「今時、高校にも行かず、一人で子どもを育てているんでしょ? 子どもが熱を出して休まれても困るし、だいたい高校行かないで何をしていたの?」という冷たい言葉でした。高校に行っていないと仕事もしちゃ駄目なのか。そう思うと悔しくてたまりませんでしたが、子ども達のために諦めずにひたすら面接を受け続け、ようやく無認可の保育園への採用が決まり、私にも運が巡ってきたのだと感じました。そして、仕事に慣れてくると、給料が倍近く変わる保育士資格の必要性とともに、高校を卒業することで未来の選択肢を広げることが出来るのだと感じるようになっていきました。

〈 中 略 〉

 初めての高校生活は、不安だらけでしたが、「高校を卒業し、自分の夢を叶える」という同じ志をもった友人と出会えたことで、その不安がなくなりました。・・・

・・・ 仕事をしながらの育児や学校生活は、正直とても大変です。けれど、母との約束を守り、育児・仕事・高校生活の全てに一生懸命取り組み、充実した毎日を過ごしています。その様子を見ている子ども達から、最近になって、「お母さん、お仕事もお勉強も頑張っていて花丸だね。」といううれしい言葉をもらいました。「親の背中を見て子は育つ」と言います。私は、子ども達に母親の頑張る背中を見せてあげたいのです。そして、「諦めなければ、いくつになっても夢を追い続けることが出来る」ということを、身をもって教えていくつもりです。